君の心が聞こえる。


わたしも頭を下げた。


「わたしの方こそ。……さっちゃん、」

「……っ!」

「酷いこと言って、ごめん」


久しぶりに、さっちゃん、と呼んだ。



……ずっと言いたいことがあったんだ。



あの日までの間、わたしを怖がらずにずっと一緒にいてくれたこと。笑ってくれたこと。

あの日も、わたしを庇ってくれたこと。


それがどんなにありがたいことだったのか、いまなら身に染みてよくわかる。



「ありがとう、さっちゃん」



そんなあなたを傷つけるしかできなかった弱いわたしは、本当に酷いやつだよね。


さっちゃんが嫌いで言ったわけじゃない。今だって、嫌いなわけじゃない。


嫌う……わけがない。



「もうあんなことしないから。……もう、勝手に心聞いたりしないから。だから、安心して」



だから、そんなに泣かないでよ。

怖がらなくても大丈夫だよ。



ポロポロ涙をこぼすさっちゃんに、胸がギュッと苦しくなる。



「違う。違うよ、優ちゃん」


そんなわたしに言い聞かせるように、さっちゃんがわたしの手に触れた。


ギューッと包むように握り締められて、ジッと目を見つめられる。


「聞いて。優ちゃん。"それ"もうやめていいよ」

「……っ」

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