君の心が聞こえる。
「……気持ち悪い、なんて、酷いこと言ってごめんね。こればっかりは、もう謝ってもどうにもならないよね」
さっちゃんの心の声が聞こえる。
苦しそうに、何度も何度も、謝る声が聞こえてくる。
うん、もういい。もう十分だ。
わたしはもう、大丈夫。
「もう、そんなの忘れたよ」
「嘘だ」
「ウソ。でもね、もう本当にいいんだよ」
ふふっと笑って、思い切り伸びをする。
なんかすごく、軽くなった。
「これで全部、仲直り」
たいして意味もなくピースをして見せると、さっちゃんも笑ってピースをした。
ふたり揃って目が真っ赤で、酷い顔。
止まっていたわたしたちの時間が、また動き出す音がする。
約7年越しの喧嘩は、この保健室で、ようやく終わりを告げた。