君の心が聞こえる。


「センパイ、良かったね」

「うん。メグくん、本当にありがとう」


本当は目を見て話したいのに、いまさら腫れた目のことが恥ずかしくなって顔が上げられない。


……それに、ちょっと変でもあった。


メグくんのそばにいると安心するはずなのに、今日はなんだか少し落ち着かない。



「センパイ?」

「あー、そう。だからね。何かお礼をしようと思って」

「お礼?」


メグくんに呼ばれて、咄嗟に誤魔化すようにその場を立ち上がった。


「何それ、別にいーよ。つかそもそも、俺何もやってねぇし」

「そんなことないよ。メグくんの生意気っぷりがなかったら、きっとまださっちゃんと話せないままだったもん」

「生意気って……」


一言余計なんだよなぁと頭を掻くメグくんに、ふふっと笑う。


あ、これだ。この感じ。

いつものメグくんとの距離感。


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