君の心が聞こえる。
ゆーっくりと後退りしようと試みるも、まんまとメグくんに腕を掴まれた。
「センパイ、なんか変。いつにも増してすげぇ変」
「わ、わかってるよそんなこと……!」
ジーッと見つめられるも、全く目線を合わせられるような気がしない。
なぜかここで、昨日のメグくんとの会話を思い出してしまった。
『だからそんなに拗ねなくていいよ』
『……誰が、誰に』
『ゆーりセンパイが、俺に』
う……わぁ、あ、ダメだ。
急に謎の恥ずかしさまでプラスされて、ブンブンと首を横に振る。
うん、ダメだ。
なんとなく理解できてしまった。
これは、完全に……。
「センパイ、俺のこと意識してるでしょ」
「な……っ!」
「ふはっ、やっぱり」
わたしの腕を掴んだままのメグくんが、楽しそうにクスクスと笑う。
く……最初はあんなに空っぽな生意気くんだったのに。