君の心が聞こえる。
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「えっ、デート!?あの千堂くんと?」
「……うん、なんかそういうことになった」
その日のお昼休み。
メグくんが「せっかく仲直りしたんだから一緒に過ごしなよ」と言ってくれて、わたしは7年ぶりにさっちゃんと一緒にご飯を食べていた。
場所は、比較的人の少ない中庭。
まったく雑音がないわけじゃないけれど、教室で食べるよりはずっとマシ。
「あの千堂くんと……」
"遊び人の噂すごいし、大丈夫かなぁ。"
「う……やっぱりさっちゃんもそう思うよね」
「あっ、ごめん優ちゃん聞こえてた!?」
あわあわする彼女を横目に、うーんと頭を抱える。
こういう会話ができること自体が懐かしくて嬉しいんだけれど、今は正直その感動に浸る余裕がない。
く……メグくんめ。一体何を考えているのやら。
「そういえば優ちゃんって、千堂くんの心の声だけは聞こえないんだっけ?」
「そう。あの子、出会った時は本当に空っぽだったから」