君の心が聞こえる。


あ、これだ、これ。

メグくんと同じ、わたしの好きな香り。


「ふふっ」

「そんなに気に入った?その匂い」

「うん。君に包まれてるみたいで落ち着く」

「……っ、んだよそれ」


無駄にパタパタと手を振ってみては、漂う香りに笑みがこぼれる。


メグくんがデートに慣れているとか、一瞬でどうでもよくなってしまった。


だって今わたし、すっごく楽しい。


「メグくんのお礼のはずなのに、わたしがいろいろ買っちゃってるね」

「確かに」


クスクスと笑うメグくんの表情に、胸がドキドキする。




こんなに自分が自分じゃないみたいな感覚、初めてだった。




……これは、きっとあれだよね。

初めての感情で正解はわからないけれど、たぶん、そういうことなんだよね。


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