君の心が聞こえる。
学校に行く楽しみができた。
「優里ー、時間よー!」
「はぁい」
リビングからわたしを呼ぶお母さんの声が聞こえてきたけど、すぐにはリビングへ降りずに、いつもよりほんの少しだけ丁寧に髪をとかす。
普段つけないくせにほんのり色付きのリップもしてみたりして。
そして最後に棚に飾っておいた香水の小瓶を手に取って、それをつけた。
うん、やっぱりいい香り。
たったこれだけで今日学校に行く元気が出るんだから、わたしは単純だ。
「あら?優里、香水なんてつけてた?」
「うん、今日からね」
「そう」
"いい香りね。"
「ふふっ、ありがとうお母さん」
キッチンからお弁当を持ってきてくれたお母さんに自慢げに笑う。
「お父さんは?」
「まだ寝てるわ。昨日帰ってきたの遅かったみたい」
「そっか」