君の心が聞こえる。
「ねぇ、さっちゃん」
「ん?」
「メグくんの心、聞くのはやっぱり怖いなぁ」
「……優ちゃん」
さっちゃんに言うべき気持ちではないのかもしれない。
でも、このわたしの不安をわかってくれるのもさっちゃんしかいない。
「優ちゃんは……さ。その……、千堂くんに力のこと言おうとは思ってないの?」
遠慮がちな彼女の視線が、わたしに向いた。
「うん、言わない。……ていうか言えない、かな」
メグくんはそんな人じゃないという自信はある。
でも、最初から───初めてメグくんに話しかけたあの日から、わたしは力のことを言うつもりはなかった。
ううん。メグくんに限らず、もう誰にも言うつもりはない。
お母さんとお父さん。それに、さっちゃん。3人だけで十分だ。
「そっか」とだけ、さっちゃんは言った。
それ以上はお互い深くは話そうとしなかった。
この変な力を誰かに知られるということの重み。それは、わたしもさっちゃんも身を持って知っているから。