君の心が聞こえる。
今年の入学式の日。
新しい環境でいろんな感情が溢れているはずの新入生の中で、わたしは君に目がいった。
金髪で目立つ容姿だからとか、そんな理由じゃない。
君の心の中だけが、聞こえなかったんだ。
それなのに、たくさんの女の子に囲まれて表面上は楽しそうに笑っている。
そんな姿とは裏腹に、わたしが初めて聞いた君の声は。
「……『生きてる理由がわからない』」
「……っ!」
「あ、やっと表情が変わったね」
驚いたように顔を上げた彼と、しっかりと目が合った。
そしてその瞳は、ガラス玉みたいに綺麗で、それでいてわたしには空っぽに映って見える。
「不思議だったの。いつも女の子に囲まれてる君が、なんでそんなに空っぽなのか」
「センパイ、俺のストーカーなわけ?」
「ん〜、否定はしない」
ヘラリと笑うわたしに、メグくんはまた呆れた表情に戻る。