君の心が聞こえる。
いつもは私が見上げる側なのに、今は逆で。
少し優越感があるのに、なんだか急に気恥ずかしくなってしまった。
……というか、これ。わりと距離近め、だよね。
今更ながらにそのことに気が付いて、なんとなーく後退りしようとすると、パシッと手首を掴まれる。
「何逃げようとしてんの?」
「あー……いや、髪も撫で終わったし、もういいかなぁと」
「センパイって、こういうときだけわかりやすいよね」
「……ッ」
ジーッと見つめられて、うまく視線が合わせられない。
さっきまで普通だったはずなのに、急に意識してしまう。
あー、ダメ。わたしポンコツすぎ。
「自分から近づいたくせに、急に距離近いなーとか思ったんでしょ?」
「……う」
「センパイって結構ツンデレだよね」
フッと笑うメグくんに、しまったと思った。