君の心が聞こえる。
「センパイ」
まただ。
わたしはまた、あの日と同じことを繰り返している。
「ゆーりセンパイってば!」
目の前のメグくんの声で、ハッとした。
反射的にメグくんの目を見てしまって、パッと逸らす。
「……センパイ、こっち向いて」
「……っ」
「大丈夫。大丈夫だから」
優しすぎるメグくんの声に、泣きそうになった。
なんで。なんで何も聞かないの。
なんで、怖がらないの。
ずっと君の心の声が聞こえるのを待っていた。
もちろん聞くのは怖かったけど、聞こえたその時は喜びたかったのに。
君の変化に喜ぶより先に自分のことばかりになるなんて、わたしは最低だ。
───キーンコーン……。
「っ!」
いいタイミングで、チャイムが鳴った。