君の心が聞こえる。
「わ、たし、行かないと」
「センパ……」
「じゃあね、メグくん」
またね、とは言えなかった。
メグくんが、わたしの名前を呼んでいる。
結局彼の目を見ることもできないまま、わたしは逃げるように保健室を出た。
ドクン、ドクン、と心臓が脈打ってる。
ついさっきまで楽しくて幸せな気分だったのに、あっという間にどん底だ。
"あー、午後の授業だりぃ。"
"あれ、今日雨予報だったのに晴れてるじゃん。ラッキー。"
"早く部活行きて~。"
廊下を走り抜ける間にも聞こえてくる雑音が、やけに響く。
それなのに、いつものようにうるさいとすら感じる余裕もなかった。
どうしよう。どうしよう。
考えるのはそんなことばかり。
そのままうわの空で午後の授業を受けて、放課後になるとわたしは走って家へと帰った。