君の心が聞こえる。


バタンッ。

ドサッ。


「優里―?帰ったの?」

「………」


お母さんにただいまの挨拶もせずに部屋にこもって、ベッドに倒れこむ。



……まだ、動悸がする。


小学生のあの頃より怖いと思ってしまうのは、相手がメグくんだからだろうか。わたしの、好きな人だから。



今朝つけた香水の香りがまだ残ってる。


……こんな時でもいい匂いなんて、さすが、メグくんはやっぱりセンスがあるね。




ピコン、と、スマホが鳴った。

送り主は、メグくん。


そのあとも続けて何度も通知が鳴って、挙句に聞こえてきたのは着信音。



「……はは、しつこいなぁ、メグくんは」



わたしは、単純だから。


メグくんが気にしてくれているただそれだけでも、嬉しいと思っちゃうんだよ。


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