君の心が聞こえる。
……でも。でも、ね。
スマホに手を伸ばして電源を切ると、バフッと枕に顔を埋めた。
君にだけは、知られたくなかったんだよ。
この力で人を傷つけてしまうとか、そんな綺麗な理由じゃない。
ただわたしが、もう誰かに……メグくんに。怖がられることが、たまらなく怖いから。
『大丈夫。大丈夫だから』
メグくんは、どうしてあんなことを言ってくれたんだろう。
わたし、そんな酷い顔でもしてたかな。
してた……んだろうな。
だって、君は優しいもんね。
「優里?どうしたの?大丈夫?」
ドアの外から、お母さんの声が聞こえた。
本当に、こういうところまで小4のあの日みたいだ。
あの日もわたしは、丸一日部屋に閉じこもって出てこなかったんだっけ。
あぁ、またお母さんに心配かけちゃうな。