君の心が聞こえる。


「そのバラード仮面の正体がヒロインにバレたシーン、私よく覚えてるんだけどさ」

「………」

「そのヒロインの女の子、『教えてくれてありがとう』って、泣いて喜んでたの」


千堂くんも同じじゃないかな?と、さっちゃんは続けて言った。



「マンガの世界とはもちろん状況も違うけど。でも、あのヒロインみたいに、千堂くんは優ちゃんを拒絶したりなんかしないよ。じゃないと、あんなに必死になって優ちゃん探したりしないもん」


さっちゃんの言葉に、持っていたスマホを無意識に握り締めていた。


……うん。そうだね。

メグくんは、優しい子だから。


何度も何度も呆れたような顔をさせてしまっていたけど、それでもメグくんはわたしから離れてはいかなかった。ずっと、一緒にいてくれた。


わかってる。わかっては、いるんだけど。

頭の中でぐるぐる同じことの繰り返し。


うじうじしてるなんて、わたしらしくもない。


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