君の心が聞こえる。


ゆっくりと声のする方を振り返ると、そこにいたのはわたしの好きな人。


「なん……」

「やっと見つけた」



たった今、覚悟を決めた。

今、会いに行こうと思ったその人と、わたしは確かに目が合った。


メグくんだ。メグくんが、いる。


久しぶりに見たその姿に、なんだか涙が出そうだ。



「もう逃げらんないよ、センパイ」


ホッとしたように、切なそうに、メグくんはわたしにそう言う。


散々うじうじしていたくせに、その姿を見るとたまらなくその腕の中に飛び込みたくなった。


「メグく……」

一歩、彼に近づいた。


"あれって、1年の千堂くんじゃない?"


「っ、」


それなのに。こんなときでも、わたしの耳はいろんな声を拾ってしまって。


思わず口を閉じたわたしに、メグくんの方から歩み寄ってきてくれた。


< 171 / 251 >

この作品をシェア

pagetop