君の心が聞こえる。
「変とか、センパイには言われたくないんだけど」
「もう……失礼だなぁ」
そう言ってへにゃりと力なく笑ったセンパイは、これまでもずっとひとりでこんな不安を背負っていたんだろうか。
そうと思うと、もっと早く気づけば良かったとさえ思ってしまう。
俺の心が聞こえる、とあなたは言ったけど、きっと他の人の声も聞こえているんだろう。
「ねぇセンパイ。もっと教えてよ、センパイのこと」
真っすぐ見つめる俺の心は今、あなたに聞こえているんだろうか。
それからセンパイは、ゆっくり、少し迷いながら、俺に教えてくれた。
生まれた時からその力があったこと。
知っているのは両親と上野先輩だけだったこと。
小学校時代のトラウマ。
林間学校で倒れたのはそれが関係していたこと。
そして。
『ねぇ、なんでそんなに死にたいの?』
俺の心の声を聞いたのは、この前が初めてではなかったこと。