君の心が聞こえる。
ただ、伝わってほしかったから。
たくさんのものを抱えてきたあなたに。
何もなかった俺に理由をくれたのは、俺の心の声に気づいてくれたセンパイがいたからなんだ、と。
「……ふふっ。バカだなぁ、君は」
耳まで真っ赤にして、でも嬉しそうに、センパイは笑った。
「それじゃあ、わたしが死んだらまた空っぽになっちゃうよ」
「それはその時に考えるよ。センパイ変人だから、そう簡単には死なないでしょ?」
「相変わらず生意気言うね、メグくんは」
クスクス笑うセンパイにとめどなく愛おしさがあふれ出る。
────でも、大丈夫だよ。たとえセンパイがいなくなっても、俺には『魔法の呪文』があるから。
「『大丈夫。君はただの天才だ』」
「……!」
「でしょ?」
俺の心を聞いたのか、センパイは先回りしてそう言った。
あぁ、もう。敵わないな。この人には。