君の心が聞こえる。


ただ、伝わってほしかったから。


たくさんのものを抱えてきたあなたに。

何もなかった俺に理由をくれたのは、俺の心の声に気づいてくれたセンパイがいたからなんだ、と。




「……ふふっ。バカだなぁ、君は」


耳まで真っ赤にして、でも嬉しそうに、センパイは笑った。


「それじゃあ、わたしが死んだらまた空っぽになっちゃうよ」

「それはその時に考えるよ。センパイ変人だから、そう簡単には死なないでしょ?」

「相変わらず生意気言うね、メグくんは」


クスクス笑うセンパイにとめどなく愛おしさがあふれ出る。



────でも、大丈夫だよ。たとえセンパイがいなくなっても、俺には『魔法の呪文』があるから。


「『大丈夫。君はただの天才だ』」

「……!」

「でしょ?」


俺の心を聞いたのか、センパイは先回りしてそう言った。


あぁ、もう。敵わないな。この人には。


< 183 / 251 >

この作品をシェア

pagetop