君の心が聞こえる。


「ねぇセンパイ」

「今度は何……っ」

「俺、返事もらってないんだけど」

「っ!?」


少し、というかかなり、自惚れている部分はある。


あんなに避けられた時はさすがに焦ったし正直へこんだけど。

でも、好きな人がこんな可愛い反応してくれると、男は誰でも自惚れてしまうものだろう。


それほどまでに誰かを好きになることなんて今までなかった。


ぜんぶ、センパイが初めてなんだから。



「ゆーりセンパイ」



ずっと繋いでいた手を、クイッと引っ張ってみた。


我ながら、好きな人に意地悪をしたくなるなんてガキみたいで笑える。



思い通り簡単に引き寄せられてくれたセンパイは、すっぽりと俺の腕の中に収まった。

ふと鼻に感じ取ったのは、俺と同じフゼアアンバリーの香水の匂い。



ふっと思わず笑みがこぼれる。



……なんだ。俺のこと避けてても、ちゃんとつけてくれてんじゃん。


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