君の心が聞こえる。
「センパイ。ゆーりセンパイ」
「……もうっ」
そのあとも何度か声をかけてみると、彼女は観念したのかようやく手を離した。
ゆっくりと顔を上げたセンパイと、やっと視線が絡む。
あーあ、シャツしわになってるし。どんだけ強く握ってたんだよ、センパイのバカ。
そうからってやろうと思ったのに、耳まで真っ赤になったその顔を見て一気に言う気をなくした。
「メグくん……好き」
「!」
「好き、だから、……メグくんの彼女になりたい、です」
恥ずかしくてたまらないって、顔に書いてある。
それでも、ちゃんと目を見て、ちゃんと言葉で言ってくれたセンパイに、からかう余裕なんて一瞬でなくなった。
あー……、無理。