君の心が聞こえる。
ふと。
隣を歩いていたはずのメグくんが立ち止まって、繋いでいた手を離した。
「メグくん……?」
わたしの前に回り込んできたメグくんの掌が、わたしの両耳を包むようにそっと塞ぐ。
途端に、直前まで聞こえていた女の子の声も、他の雑音も、何も聞こえなくなった。
"隠さないでよ。"
「……っ!」
"俺は、聞きたくてもセンパイの心聞いてやれないから。"
切なそうに揺れたその瞳に、胸がキュンと締め付けられた。
あぁ、好きだ、と。そう思った。
今この場にいる誰よりも、わたしが一番メグくんを想ってる。その自信がある。
「ごめんね、メグくん。違うの」
わたしの耳を塞いだその両手に、自分の手をそれぞれ重ねた。
キュッと手を握って、そのままゆっくりとおろす。