君の心が聞こえる。


淡々とそう言い放つメグくんの考えていることはわからない。

聞きたい時に限って、君の心は聞こえない。



ここ最近わかった。


口に出して聞いたわけじゃないけど、メグくんはたぶん、ある程度なら心の声の制御ができるんだと思う。



そんなこと可能なのかはわからないけど、聞きたい時にメグくんの声を聞けないことはよくあった。


それなのに、意地悪にわたしを呼ぶときの彼の心の声はわざとかってくらいよく聞こえる。


天才故なのか、それはそれで厄介だ。



「大丈夫。変なことはしないから」

「……変なこと、って」

「あ、想像した?」

「っ!してない!」


ニヤリと意地悪く笑ったメグくんに、瞬時に言い返す。



もう。またすぐにそうやってからかうんだから。


「おいで」と、今度は優しくそう言われて、とわたしはその敷地に足を踏み入れた。



ガチャリとカギを回して家の中へ入ると、その空間はすごく静かで。


「親、夜まで仕事でいないから」


わたしの考えてることを読み取ったように、メグくんがそう教えてくれた。


……ていうか、夜までって。


< 216 / 251 >

この作品をシェア

pagetop