君の心が聞こえる。
それでも全然苦しくはなくて、むしろ心地いい。もっと、と口にしそうになって言葉を飲み込んだ。
「誰かをこんなに大事に想ったの、ゆーりセンパイが初めてなんだよ。こんなに満たされた気持ちだって、今まで知らなかった」
耳元で響くその声があまりにも優しくて、ドキドキする。
「センパイ、不安にさせてごめん」
「……ううん。わたしの方こそ」
「センパイを不安にさせた分も全部、俺がこれから埋めてくから」
たったそれだけの言葉で、さっきまでの黒い感情が晴れてゆく。
君は不思議だね。おかげでわたしの感情は大忙しだよ。
「メグくん、もう十分だよ」
掴んでいた手を離して、ゆっくりとメグくんを見上げた。
メグくん。メグくん。大好きだよ。
どんなに伝えても足りないかもしれない。
「わたし、結構チョロいかも」
「ははっ、俺だってチョロいよ。センパイに限定で」