君の心が聞こえる。
優しく笑うメグくんと至近距離で目が合って、ドキンと心臓が音を立てた。
部屋にある時計の秒針の音が、やけに響いて聞こえる。
ゆっくりと伸びてきた彼の右手が、優しくわたしの頬に触れた。
「……ゆーりセンパイ、キスしていい?」
少し掠れたメグくんの甘い声に、コクリと頷く。
……うん。本当に十分だ。
だって、今の君のその表情を知ってるのは───わたしだけ。
目を瞑ったのと、唇に熱を感じたのはほぼ同時だった。
"ゆーりセンパイ、好きだよ。"
「……っ」
唇にも、耳にも、メグくんの想いが伝わってクラクラする。
わたしも好きだと伝えたいのに、メグくんに囚われたままでそれを口にはできなかった。
好きな人とのキスは、こんなにも温かくて幸せいっぱいになることを知った。
ゆっくりと唇が離れても、まだ鼻先が触れ合う距離。