君の心が聞こえる。


「はい、おいで」

「え?」

「いーから」


わたしに向かって手を広げたメグくん。


戸惑いながらも言われるがままその腕の中に飛び込むと、ギューッとメグくんに包み込まれた。


なんだか、自分がものすごく小さく感じる。
ドクンドクンと、心臓の音が聞こえた。



「わかる?」

「え?」

「俺、今すげぇドキドキしてんの」


ふっと笑う声が降ってくる。


メグくんの言うその意味がすぐに理解できて、コクンと頷いた。



メグくんに抱きしめられて、ドキドキしている。自分でも聞こえてくる。


けど、その音がひとつだけじゃないこともよくわかった。


これは、君の心臓の音。



「好きな人が目の前にいて。キスまでして。余裕がある方がおかしいでしょ」

「……ふふっ」

「……今笑うとこじゃないんだけど」


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