君の心が聞こえる。
日が落ちていることを心配したメグくんは、わたしを家まで送ってくれていた。
「別にお礼言われるようなことしてないじゃん」
「うん。だとしても、ありがとう」
「……やっぱセンパイって変わってる」
そう言ったメグくんに、へへっと笑ってみせる。
あー大変。今日は顔が緩みっぱなしだ。
メグくんはきっとわかっていない。
君がいたから、今わたしはこうして笑っていられる、ってことを。
わたしのこの変わった力も、どうしようもないヤキモチも。メグくんは全部受け止めて、そしてそれを受け入れてくれる。
こんなに優しい人、君以外にはいないよ。
わたしのこの心も、君に聞こえたらいいのに。
「あら?優里?」
家まであともう少しというところで、後ろから名前を呼ぶ声がした。
メグくんと一緒に振り返ると、そこにいたのは正真正銘わたしのお母さん。