君の心が聞こえる。
「お、お母さん」
「おかえり、優里」
意外と帰るの早かったのね、と。そう言ったお母さんの手には、買い物袋がぶら下がっている。
いつもより帰りが遅くなることは、事前にメッセージを送っていた。どうやらお母さん的には、もう少し遅くなると思っていたらしい。
「で、えーっと……?」
お母さんの視線が、ゆっくりとメグくんの方に向いた。
途端にメグくんと手を繋いでいたことを思い出して、慌てて手を離す。
お、思いっきり手繋いだままだった……。
お母さんに見られるのは、なんとなく気恥ずかしい。
そんなわたしとは対照的に、隣に立つメグくんは、特に慌てる様子もなくペコリとお母さんに頭を下げた。
「千堂恵です。優里先輩とお付き合いさせてもらってます」
落ち着いたトーンで話すメグくんに、思わず呆気にとられる。