君の心が聞こえる。


「お、お母さん」

「おかえり、優里」


意外と帰るの早かったのね、と。そう言ったお母さんの手には、買い物袋がぶら下がっている。


いつもより帰りが遅くなることは、事前にメッセージを送っていた。どうやらお母さん的には、もう少し遅くなると思っていたらしい。



「で、えーっと……?」

お母さんの視線が、ゆっくりとメグくんの方に向いた。


途端にメグくんと手を繋いでいたことを思い出して、慌てて手を離す。



お、思いっきり手繋いだままだった……。

お母さんに見られるのは、なんとなく気恥ずかしい。


そんなわたしとは対照的に、隣に立つメグくんは、特に慌てる様子もなくペコリとお母さんに頭を下げた。



「千堂恵です。優里先輩とお付き合いさせてもらってます」


落ち着いたトーンで話すメグくんに、思わず呆気にとられる。


< 225 / 251 >

この作品をシェア

pagetop