君の心が聞こえる。


……な、なんでそんなに落ち着いてるの、メグくん。

その堂々とした佇まいからは、年下どころか大人にさえ見える。



普通、突然お母さんが登場したら戸惑うでしょ。


メグくん、そんなところでなんでもできる天才くん発動しなくていいんだよ。




"センパイ、口開いてる。それと顔に出すぎ。"

「な……っ!だってメグくんが……!」



そこまで口にして、ハッとした。

慌てて口を閉ざしたけど、もう遅い。



思いっきりメグくんの心の声に返事をしてしまった。


ゆっくりとお母さんの方に視線を向けると、案の定お母さんは驚いたように目を見開いていて。



その瞳が、不安そうに揺れている。



……やっちゃった。


思い出すのは、小4のあのクリスマス。



これは非常にまずい。



「優里、あなた……」

「違うの!お母さん、あのね、」

「センパイ」


お母さんの方へ一歩踏み出たわたしを、メグくんが止めた。


"大丈夫。"

優しく聞こえたその心の声に、メグくんの目を見た。


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