君の心が聞こえる。
わたしに、声と同様に優しく微笑んだメグくんは、しっかりとした顔つきてお母さんに向き直る。
「先輩の不思議な力は、僕もよく知っています」
「……っ!」
「でも、安心してください。僕は、その力に救われた人間です」
明らかに不安げな表情を浮かべるお母さんに、目を逸らすことなく、メグくんはそう言った。
メグくんはわかってくれている。
この力のことで不安を抱えているのは、わたしだけじゃないということを。
「正直、最初は変な人だと思ってました。けど、先輩が僕の心に気づいてくれたおかげで、僕は空っぽじゃなくなった」
メグくんはそう言ってくれるけど、わたしだって、君と出会って色んなことを知ったよ。
だから、わたしも自分の口から言わなくちゃいけない。
「あのね、お母さん。わたし、さっちゃんと仲直りできたんだよ」
「え……っ?」
お母さんの目をちゃんと見て、わたしはそう打ち明けた。
「メグくんが背中を押してくれたの。少しずつだけど、クラスの子達とも話せるようになってるんだよ」