君の心が聞こえる。


わたしに、声と同様に優しく微笑んだメグくんは、しっかりとした顔つきてお母さんに向き直る。



「先輩の不思議な力は、僕もよく知っています」

「……っ!」

「でも、安心してください。僕は、その力に救われた人間です」


明らかに不安げな表情を浮かべるお母さんに、目を逸らすことなく、メグくんはそう言った。



メグくんはわかってくれている。

この力のことで不安を抱えているのは、わたしだけじゃないということを。


「正直、最初は変な人だと思ってました。けど、先輩が僕の心に気づいてくれたおかげで、僕は空っぽじゃなくなった」


メグくんはそう言ってくれるけど、わたしだって、君と出会って色んなことを知ったよ。



だから、わたしも自分の口から言わなくちゃいけない。


「あのね、お母さん。わたし、さっちゃんと仲直りできたんだよ」

「え……っ?」


お母さんの目をちゃんと見て、わたしはそう打ち明けた。


「メグくんが背中を押してくれたの。少しずつだけど、クラスの子達とも話せるようになってるんだよ」


< 227 / 251 >

この作品をシェア

pagetop