君の心が聞こえる。
ふふっと、お母さんが声を出して笑う。
「千堂くん、ありがとう」
「いえ、そんな」
目元を拭ったお母さんに、メグくんも少しホッとした表情を浮かべた。
「あ、そうだ。千堂くん、せっかくだし家でお夕飯食べて行かない?」
「え?」
「あ、いいねそれ。メグくん、そうしようよ!」
「えーっと……?」
「千堂くん、から揚げは好き?」
けれど、途端にいつもの調子に戻ったお母さんに、さっきまでとは違ってようやく戸惑いの様子を見せたメグくん。
あーあ、せっかくのカッコいい顔が台無し。
お母さんとふたりで半ば強引に連れて、一緒にお家へと向かった。
"ゆーりセンパイの自由さは母親譲りか……。"
ポツリと聞こえたその声には、聞こえないふりをして。