君の心が聞こえる。
わたしの1日はワンパターンだった。
「行ってきまーす!」
朝、家を出てすぐに耳にはめるイヤホンはわたしの必需品。
登校して、教室に入って、朝のHRが始まるその直前まで。いつもわたしの耳には大して興味もない大音量の音楽が流れていた。
休み時間だって、帰り道だって、全部同じ。
学校で唯一落ち着けたのは、昼休みに過ごす保健室だけ。
────でも、今はもう違う。
「センパイ」
「あっ、メグくん!おはよーっ」
学校の手前にある信号の前で、大好きな人の姿を見つけた。
太陽に反射して、その金色の髪がキラキラ光って見える。
「あれ、今日もイヤホンなしで来れたんだ?」
「そう。頑張ったでしょ?」
えっへんと胸を張るわたしに、メグくんは「はいはいすごいね」と少し呆れたように笑った。