君の心が聞こえる。


あまりにも棒読みすぎてポカッとその胸を叩くけど、もうここ最近はずっとこんなやりとりばかりで大して反応もない。



メグくんと出会って、一緒に過ごすようになって、わたしの毎日も変わってきていた。


学校生活でイヤホンを使うことも極端に減ったと思う。


今日だって、耳に何もない状態で家からここまで来た。



周りの声が聞こえなくなったわけじゃない。

状況はいつもと変わらない。


今日だって、遅刻だと慌てるサラリーマンの声も、学校が嫌だと駄々をこねる小学生の声も、他にもいろいろ聞いた。



でも、それだけだ。


それだけだと、思えるようになった。


上手く説明はできないけれど、窮屈でたまらなかったはずのわたしの世界は今、広がっている。


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