君の心が聞こえる。


ふと思い出したように手を叩いた菊島くんは、何やら自分のカバンをゴソゴソと物色し始める。


そして見つけたのであろうそれを手に、わたしたちの目の前へと差し出した。




「じゃじゃーん!遊園地のペアチケット~!」

「えっ!?」


ヒラヒラとさせながら見せてくれたそれに、思わず声が漏れた。


『入場料無料!』と書かれた遊園地のチケットが、2枚。


「お前これどうしたんだよ?」

「やーなんか。母さんが福引で当てたらしいんだけど、使わないからってくれたんだよね。彼女と行けとか言われたけど、俺彼女いねーし」


シクシクと泣きマネをしたあとで、「だからあげる」と菊島くんはメグくんにそれを手渡した。


「菊島くん、本当にいいの?」

「いいも何も、母さんからそれもらって真っ先に浮かんだの千堂と市原先輩っすもん。その代わり、デート写真送ってくださいね」

「誰が送るか」


本日2回目のメグくんからのツッコミを受けながら、菊島くんはケラケラと笑った。


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