君の心が聞こえる。


でも、だからって、行かないという選択肢はわたしにはなかった。


「ねぇ何から乗る?ジェットコースターって速いかな?あ、メグくん、クレープ売ってるよ!」

「ちょ、センパイ落ち着いて」


人生2回目の遊園地にはしゃぐわたしを見て、メグくんは呆れたように笑う。



「今日は童心に帰る日だよ、メグくん」

「はいはい」


メグくんと一緒なら、周りの雑音も何も気にならない。でも。




"でも、俺とのデートだってこと忘れないでね。"

「……っ、わ、わかってる!」


君の声だけは、はっきりと聞こえるんだ。


キュッと手を掴んで微笑んだ君に、完全に子供になるのは無理だと悟った。



自分からも、隣のメグくんからも、同じ香水の香りがする。


それが心地よくて、幸せで、ふふっと笑みがこぼれた。


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