君の心が聞こえる。
「優里ちゃんは?」
「あ、うん……わたしも、デートで」
「そっか。一緒だね」
彼女の心の中が聞こえた。
クリスマスのあの日のことと、わたしの力のことは夢だったんじゃないかという疑念。
信じてくれなくていい。そしてたぶん、信じない方がお互いのためだとも思う。
お互い、その話には触れなかった。
それから一言二言話して、リンちゃんは彼氏のところへ戻っていった。
"……元気そうでよかった。"
最後に聞こえたその声に、根拠はなくともまた1歩前に進めたような気になる。
わたしも、会えてよかった。
何かが劇的に変わったわけじゃない。
それでも、わだかまりというか。胸の奥でつっかえていた何かが解けたような感覚はあった。
「ゆーりセンパイ」
「あ、メグくん」
それから少しして、メグくんが戻ってきた。