君の心が聞こえる。
新学期が始まって、1ヶ月が過ぎようとしていた。
彼のことは知りたくなくても知っている。だって聞こえてきちゃうから。
「千堂恵(せんどうめぐむ)くん。1年A組。入学早々誰彼構わずタラシ込むプレイボーイ」
「……うわ、なにそのプロフィール」
「みんな情報」
「みんなって?」
「それは企業秘密」
「は?」
さっきから呆れた顔しかしてない千堂くん。
そんな表情ですらその顔は整っていて、さすがに感心してしまう。
パッチリ二重にスッと通った鼻筋。ほどよい厚みの唇。
髪が金色じゃなきゃ、わたしのタイプかも。
あ、アッシュゴールドっていうんだっけ。どっちでもいいけど。
「で?人の情事盗み聞きしてたあんたは誰なわけ?」
ようやくネクタイも締めて髪も整えた千堂くんは、スマホをいじりながらわたしにそう聞いてきた。
その態度がまたとんでもなく生意気だけど、別にいい。それも"みんな情報"だ。