君の心が聞こえる。


「盗み聞きとは失礼な。ていうか君、年上には敬語を使ったほうがいいよ?」

「は?年上なの?」

「え、どこからどう見ても年上でしょ」


わたしの言葉に信じられないとでも言いたげな表情。


うん、やっぱり面白そう。

クスクスと笑ったところで、突然彼のスマホが鳴り出した。



「……もしもし。あ、ミツキちゃん?……今から家?うん、いーよ。じゃあすぐ行くね」


そしてそのまま流れるように次の約束を取り付けたらしい彼は、さっきまでのまったりモードとは打って変わってテキパキと乱れたベッドの上を整える。


それから最後にチラリとわたしの方を見て、フッと笑った。


「じゃーね。おチビなセンパイ」

「なっ!」


煽った声。余裕のある笑み。

ヒラヒラと手を振った彼は、さっさと保健室から出て行ってしまった。


噂通りの生意気っぷり。チャラ男っぷり。



────だからこそ、気になる。


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