君の心が聞こえる。
「さっきの人、よかったわけ?」
「……あれ、見てたんだ」
「センパイの数少ない友達なんじゃねぇの?」
「相変わらず君は失礼だね」
手際よく食器をすすぐメグくんの手を見ながら、思わず笑みがこぼれた。
あぁ本当、生意気な子。
さっきまで変に気を張っていたせいか、言わなくてもいいことがついポロッと口に出てしまった。
「さっきの子はね、友達じゃないよ」
「…………」
「友達、だった子」
洗い物が終わったらしいメグくんは、タオルで手を拭きながらジッとわたしを見た。
そのガラス玉のような目には、今たしかにわたしが映っている。
「ふふっ、少しはわたしのこと気になってきた?」
「……は?」
「わたしに興味持ってくれたら、君は死んでなんていられないからね」
へへんと勝ち誇ってみると、メグくんはいつものように呆れたように笑う。