君の心が聞こえる。
───たぶん、関わってはいけないタイプの人だった。
「あっ、恵おそーい!どこ行ってたの?」
「あーごめんねリナちゃん。ちょっと散歩してた」
「んもうっ、探したんだからね~?」
1年の集合場所に戻るや否や、俺の腕に絡みつく同じクラスの彼女に少し違和感があった。
甘い声。鼻にまとわりつく甘ったるすぎるほどの香水の匂い。
これが今まで俺が求めていた安心材料だったはずなのに、さっきゆーりセンパイに撫でられた時の感触を求めている自分がいる。
「……もしかして、またあの変な2年生に会ってたの?」
「ははっ、まさか」
「本当に~?あの人気味悪い噂しかないから恵も関わらない方がいいよ」
「うん、そうだね」
ムスッとするリナちゃんを宥めながらも、頭の中にいるのはやっぱりセンパイのこと。
……いや、違うか。
『ねぇ、なんでそんなに死にたいの?』
初めてあの人に話しかけられたその日から、俺の頭の中にはずっとゆーりセンパイがいる。