君の心が聞こえる。
「残念、ハズレ」
やっと起き上がったセンパイは、俺の後ろに回り込んで昼間のように俺の髪を触り始めた。
やっぱり柔らかいね、なんてどうでもいい感想を言いながら、勝手に人の髪を弄ぶあたりセンパイはいつも通りの変な人。
「大っ嫌いだよ、学校なんか」
「……え?」
それなのに、いつものゆるいセンパイとは違う少し鋭い声が、確かに俺の耳に届いた。
「メグくんの負け。学校は嫌いなんてもんじゃない。大嫌い」
いつの間に勝負になってたんだと突っ込みたくなったけれど、今はそれは後回し。
後ろにいて顔が見えない分、余計にセンパイの感情が読み取れなくて少し焦った。
「……じゃあ、なんで学校来てんだよ」
「うーん、生きてくため?」
「は?」
「だって、これから働いていくためには、最低でも高卒の肩書はほしいでしょう?」
さも当たり前にそう言うセンパイに呆気にとられる。