君の心が聞こえる。
それもそのはず。
わたしと同乗したい物好きなんて、このクラスにいるはずがない。
"市原さんとふたりきりとか、何されるかわかんないし。"
うん、ね。
"正直気味悪くてとてもじゃないけど。"
あはは、わたしはお化けか何かですか。
女子たちの不満の声が聞こえてきて、思わず笑えてくる。
「あのー……」
そんな中で、ひとりの女生徒の声が聞こえた。
「私じゃ、ダメですか?」
遠慮がちなその声は、昨日と同じ。
「おー上野。A組の女子も確か奇数だからひとり余るんだったな」
「はい、だからもしできたら一緒にお願いしたいんですけど……」
勝手にB組の前に現れて担任に交渉する彼女……上野桜に、わたしはまた一瞬息をするのを忘れた。
予想外の展開に、頭が混乱しないわけがない。
……え、何。何考えてるの。
同乗するのがわたしだとわかっていてここにいるんだろうか。