君の心が聞こえる。
だとしたら、昨日の突き放した言葉を忘れた?それとも、仕返し?
とにかくわけがわからなくなってる間に、わたしは彼女とあっという間にカヌーに乗せられてしまった。
「………」
「………」
わたしが前側。そして背後に、彼女。
パニックになった頭でも、全力で彼女の心の声は聞かないように集中する。
昨日メグくんに聞かれて、思わず答えてしまった。
上野桜はわたしの……友達、だった子。
もう小学生の頃の話だ。
中学も高校も同じではあったけど、奇跡的に同じクラスになることは今まで一度だってなかった。
だから、関わらないで過ごせると思ってた。
……それなのに。
「……どういうつもり?」
我ながら、こんなにも嫌悪感のある声が出せるとは思わなかった。
ビクッと肩を震わせたのが気配でわかる。
2人とも前方を向いているから顔を見なくて済む。唯一カヌーの利点と言ってもいいかもしれない。