君の心が聞こえる。
……こんなの、顔を見たらどうにかなってしまいそうだ。
「ゆ、優ちゃんと、もう一度、話がしたかったの」
「……話すことなんてないでしょう。全部聞いたんだから」
「っ……そ、それは……」
歯切れの悪い喋り方。
昔はこんなんじゃなかった。
もっと普通に、楽しくわいわい話していたのに。
わたしだって、この子にこんなに冷たい声を出したことだってなかったのに。
「優ちゃん……ごめんね」
「……っ、何が」
「私、優ちゃんに酷いこと……」
後ろのパドルで漕ぐ水の音が、ピタリと止まった。
「ちょっと、ちゃんと漕いで……」
「私の心の声聞いて、優ちゃん」
「……!」
まさかの言葉に、わたしまで動かしていた手が止まる。
心臓がどくどく脈打って、周りにいる他の生徒たちの雑音まで余計に耳に流れ込んできた。
『やだ。怖い』
『近寄らないで』
『気持ち悪い』