君の心が聞こえる。
昔の忘れかけていた言葉たちまで頭に蘇ってきて、クラクラしてくる。
あー、もう。無理。うるさい、うるさい。
耳も、頭も、心臓まで痛いよ。
「優ちゃ、」
「黙って!!」
「っ……」
思わず出た大きな声。
周りの生徒の雑音ごと静まり返ったその状況すべてに、頭を抱えた。
「……さっきのとこ戻ろう。頭痛いの。イヤホンもないの。……上野さんなら、言ってる意味わかるでしょ」
「……うん」
それ以上、彼女は何も口にはしなかった。
ただふたりで淡々とパドルを動かして、スタート地点に戻る。
陸に着くと、わたしは振り返ることもなく真っすぐ山荘に戻った。
後ろから彼女の視線を感じたけれど、振り返る余裕なんてないし、そのつもりもない。
少し濡れた服を着替えた後で、引率で来てた保健のお婆ちゃん先生に適当な理由をつけて、そこからまた外に出る。
山荘の中じゃ他の人もいて、休むに休めない。