君の心が聞こえる。
あー、無理だ。頭が割れる。
木々を抜けてあの小さな広場に来ても、頭にこびりついた昔の声がまだ響いていた。
あーもう。うるさい、うるさい。
周りは静かなはずなのに、耳を塞いでも頭に声が残ってる。
立ってるのもつらくて、わたしは芝生の上に寝転んだ。
体験学習が終わるまで、まだ時間がある。
そのあとはみんなで仲良く温泉に入ってから帰るんだっけ。
わたしは最初から入る気なんてなかったから、眠る時間くらいあるかな。
帰る直前にも少しは自由時間あるよね。
そしたらきっと、……メグくんが、来てくれて起こしてくれるよね。
……あぁ、おかしいな。
ほんの少し前に会ったはずなのに、もう会いたいなんて。変だね。
ガンガンする痛みから逃げるように、わたしはそのまま意識を手放した。