君の心が聞こえる。



"あ~楽しいっ。こんなに楽しいならまた来年もやりたいなぁ。"



「うん、本当だね!また来年もやろうね!」




友達の誰かが言った、心の声。


楽しくてすっかりテンションの上がってしまったわたしは、それが現実の声か心の声かの区別がつかずに返事をしてしまった。



「……え?」


急に静まり返った部屋の中。

お母さんはキッチンでケーキの準備をしてくれていて、この場にはいなかった。



「優里ちゃん、今、誰と喋ったの?」


クラスメイトのひとりが怪訝な顔でわたしを見る。


「あ……違うの、えっと」


"今の、あたしが言った言葉に返事してた……?"

「違う。そんなんじゃない」



あ、と思ったところでもう遅かった。



「え、待って……何、怖いよ、優里ちゃん」


否定しようと思えば思うほど冷静さを失って、どんどん声の区別がつけられなくなる。


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