君の心が聞こえる。
ひとつは千堂くんに会いにいくこと。
もうひとつは、今日は大人しく帰ること。
今朝までのわたしなら迷うことなく前者だったけど、昼の彼の様子を見て流石に無神経かな、なんて少し反省していたりする。
だって、激おこ3秒前に逃げてきちゃったわけだし。
まぁでも、彼のことだ。
きっとわたしのことなんかもうすっかり忘れて、女の子とよろしくやっているんだろう。
……よし、じゃあこうしよう。
保健室に寄ってみて、千堂くんがいたら話をする。いなかったらそのまま帰る。
「うん、それだ」
1人で意気込んだわたしは、小走りで保健室へと向かった。
「……ねぇ、もういいでしょ?」
「うん、いーよ。だから、目瞑って?」
目的地に向かう少し手前の資料室という名の空き教室。
保健室に着くより前に、わたしは怪しげな声……というか、千堂くんを見つけてしまった。