君の心が聞こえる。


今まで気にしたこともなかった、わたしの日常の一部だったみんなの心の声が、まるで棘になったかのように突き刺さってくる。


耳に、頭に、流れ込んでくる。



"桜ちゃんはこのことずっと知ってたの?"

"桜ちゃんも実は優里ちゃんと同じで心の声が聞こえてるんじゃない?"


大好きなさっちゃんの悪口まで聞こえてきて、頭が痛くなった。




そしてその瞬間、唐突に理解した。


あぁ。お父さんとお母さんがあんなに『誰にもバレたらダメだよ』と言っていたのは、こういうことだったんだね。


わたしのこの力は、怖いものなんだね。





───……じゃあ、ひとりになれば、怖がられることもないね。




「……さっちゃんは何も関係ないよ。声が聞こえるのは、わたしだけ」

「優ちゃん?」


驚いたように振り返ったさっちゃんには目を合わせなかった。

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