君の心が聞こえる。
ふう、と息を吐いて、ギュッと掌を握り締める。
ごめん。ごめんね。
「リンちゃんって、隣のクラスの村上くんが好きなんでしょ?でも無理だよ。村上くんが好きなのは同じクラスのルミちゃんだもん」
「な……っ」
「全部知ってるよ。だって聞こえてきちゃうんだもん。ミキちゃんが今日お父さんと喧嘩したことも、ナナちゃんが算数のテストの点数が低くて泣いたことも」
これ以上は言いたくはなかった。
知っていたのは本当でも、それを勝手に誰かに話すようなことはしたくない。
……それでも、ごめん。
最後に、もうひとりだけ。
「……さっちゃんも、好きな人、いるんでしょ」
「え……っ、なんで、それ……」
笑顔を張り付けて、わたしはさっちゃんの方を見た。
さっちゃんが隠したかった、大事な秘密。