高嶺の花と呼ばれた君を僕の腕の中で包みたい
ざっと見る限り十五人ほど集まった尊臣の歓迎会は病院近くの居酒屋で行われた。小部屋が何個もあるこの居酒屋は病院の歓迎会はもちろん、送別会や普通の飲み会でもよく使用している馴染みあるお店だ。
個室は畳張りで掘りごたつになっており、横長のテーブルがずらりと並んでいる。華は長いテーブルの一番端に腰をおろし、並べられた豪華な料理の数々に滅多にこういった会に顔を出していなかったので驚いていた。刺し身などの海鮮はもちろんのこと、揚げ物に焼き鳥、ご飯物にサラダ。煮物やおしんこといった幅広い年齢に楽しんでもらえる料理の数々に華はポーカーフェイスを保ちながら実はウキウキしていた。忙しくてコンビニ飯が多かったからか出来立ての料理は久しぶりだ。
「では皆さん飲み物はお持ちでしょうか〜?」
幹事らしい、男性看護師が立ち上がり、辺りを見渡す。華もアルコールではなく烏龍茶を頼みひんやり冷えているジョッキを手にとった。
「では、カンパーイ」
乾杯と次々にカチン、カチンとぶつかるガラス音に戸惑っていると、華の隣に座っていた女性看護師が控えめに華の前にジョッキを差し出してくれたので「乾杯」と小さくガラス音を交わした。